こんなお悩みありませんか?
「なぜアドバイスが届かないのだろう?」「どうすればもっと効果的な支援ができるのだろう?」
子育て支援の現場で奮闘する皆さんなら、こんな思いを抱いたことがあるのではないでしょうか。
熱意をもって寄り添おうとしても、ママたちの真の悩みに届かず、空回りしてしまう瞬間。
それは知識や経験が足りないからではなく、実は「見えない壁」が支援者とママの間に存在しているからかもしれません。
この壁を理解し、乗り越えることで、あなたの支援はさらに深く、確かなものになっていきます。
支援者とママの間の溝
「SNSに振り回され、悩みすぎて途方にくれているママが来られました。こちらがアドバイスやケアをしても、うまくママに届いている感じがなく、自分の支援の仕方に不安を感じています」
このような声は珍しくありません。支援者は真摯に向き合っているのに、なぜママたちの心に響かないのでしょうか。

悩み解決の段階的プロセス
私たちの悩みは階段のように段階を踏んで解消されていきます。
1. モヤモヤ: まず心の中にモヤモヤとした不安や不満が生まれます
2. 脳内を言語化: それを言葉にして表現します
3. 悩みの原因を分析: 何が問題なのかを探ります
4. 解決策を考える: どうすれば良いかを思案します
5. 実践&振り返り: 実際に行動し、結果を振り返ります
不安を共感と知識で返していませんか?
知識と経験が豊富な支援者ほど、「この悩みにはこうすればいい」と解決策がすぐに思い浮かびます。共感もできる。でもその後、すぐにアドバイスや実践的な提案へと進んでしまうことはありませんか?
しかし、支援を受ける側のママは、まだ「モヤモヤの真っただ中」。共感されたからといって、すぐに行動に移れるとは限りません。
むしろ、共感だけでその先に進んでしまうと、「気持ちが置いてけぼりにされた」と感じてしまうこともあります。
なぜそう感じてしまうのでしょうか?
解決のカギは「状況」と「感情」を一緒に理解すること
ママが安心して一歩踏み出すためには、「こうすればいい」というアプローチの前に、今の自分の状況と、そこにある感情を丁寧に言語化していくプロセスが必要です。
つまり、「共感+一緒に整理する時間」が不可欠なのです。
支援者としては、「どうしてこの悩みが生まれているのか」という背景にも目を向け、ママ自身がその根っこに気づけるように関わっていくことで、
その後に伝える知識やアドバイスが、はじめて“ママの心に届く支援”になります。
必要なのは、急がないこと。共感はスタートラインであり、そこから「一緒に整理する」時間があってこそ、支援の効果が本当に発揮されるのです。
では、具体的にどうすれば良いのか?一緒に整理してみましょう。
不安が抜けない原因:支援者とママの間のギャップ
支援者とママの間には、悩み解決のプロセスにおいて大きな違いがあります。
支援者の場合
1. モヤモヤを表面的に捉える
2. 解決策を考えられる
3. 実践へのアドバイス
知識があるから、親子の姿を見たり、お悩みを表面的に聞いただけで、一気に解決策まで考えられてしまいます。
ママの場合
1. モヤモヤの状態からいきなり実践に飛ばされる。
不安の消化不良状態なのに、急に解決策の実践を求められると、ハードルが高すぎて行動に移せません。モヤモヤを言語化したり、悩みの原因を一緒に分析する過程が不足しているのです。
ママの悩みに寄り添う3つのステップ
① とにかく聴き褒める
言葉にすることで、ママ自身も気づいていなかった気持ちを見つけることができます。解決策が分かっていても、まずは「聴く+褒める」に徹しましょう。
「その頃ママは頑張ってたんですよね」と、その時の選択はママにとってベストだった事を伝えましょう。
② 気持ちに共感し、安心感を与える
「そんな状況だったら、不安になりますよね」「そんな風に考えてしまうのは当然です」と、ママの気持ちを肯定し、悩みの原因となった背景に共感する言葉をかけましょう。一人で抱え込んでいる不安を共有することで、ママの心は少しずつ軽くなっていきます。
共感した上で、発達や子育てに関する知識を少しずつ伝えていくことで、「理解してもらえている」という安心感と共に情報を受け取ることができます。
③ 一緒に小さな一歩を探す
解決策を押し付けるのではなく、今のママに楽しくできそうなアプローチを提案します。そこから、日常の中で、いつ取り入れていくか等細かいところまで一緒に考えましょう。ママ自身が「これならできそう」と思える小さな行動から始めることが大切です。
成功体験を積み重ねることで、自己肯定感が高まり、次のステップに進む勇気が生まれます。
まとめ:見えない壁を超えるために
支援者とママの間にある“見えない壁”を越えるカギ。
それは、「共感+α」の関わり方にあります。
つい知識や解決策を伝えたくなる気持ちは、支援者として自然なこと。
でもその前に大切なのは、ママの気持ちにしっかり寄り添い、今感じている不安やモヤモヤに共感すること――
そしてそこで終わらせずに、一緒に「気持ちや状況を整理する時間」を持つことです。
ただ「わかるよ」「大変だよね」と気持ちに寄り添うだけでは、ママはその先に進めません。
共感されたはずなのに、気持ちが置き去りにされたように感じてしまうことさえあるのです。
だからこそ、「共感したうえで、一緒にそのモヤモヤを言葉にしていく」プロセスが必要です。
ママ自身が、自分のペースで「悩み解決の階段」をのぼっていけるように。
その歩みに寄り添いながら、気づきを引き出していくことが、本当の意味での支援です。
ママの心が安心で満たされると、不思議なくらい子どもの発達にも良い変化が表れます。
だからこそ、まずは“心から”寄り添うことが、結果的に発達サポートの効果も高めてくれるのです。
一人でも多くのママが、発達サポートを通して「子育てって、楽しい!」と感じられる日々を、笑顔で過ごせますように。